中国製陶器酒甕の貯蔵効果(日本語訳)    

甕の原料について

古今甕作り

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 蒸留したばかりの新酒は辛く、口当たりも粗い.また刺激が強く、香りも弱い.一定の
貯蔵期間を経た新酒は、香りがまろやかに、柔らかくなる.


1.中国製陶器酒甕の特徴
 顕徴鏡で観察した結果、陶器の甕は無数の小さい孔からできた網状の構造をしている.
小孔中に存在する空気は貯蔵中の化学反応に提供される.つまり、空気を吸いながら香味
成分を変化させ、刺激的な香味がなくなり、苦香を増す.


2.貯蔵中における物理的、化学的変化
(1)物理的変化
電導率の上昇
 アルコール類、水分子とも極性分子であり、液体の場合は水素結合により大きな分子に
なる。その結合の強さは電導率と関連し、貯蔵中に電導率が上昇する結果も得られている.


遊離分子が減少
 遊離分子が口当たりの刺激を強くするので、遊離分子が多いほどこの傾向は強くなる.
一定の貯蔵期間を経て、アルコール分子が水分子と結合することにより、遊離分子は減り、
口当たりを柔らかく感じさせる。


蒸発作用
 新酒中の低沸点分子、硫化水素、遊離アンモニア、アセトアルデヒトなどは、貯蔵中に
自然に蒸発し、雑味が徐々に減少すると同時に芳醇な香りを生み出す.


(2)化学的変化
酸化還元反応
 新酒中には大量の酸化、還元成分を含んでおり、貯蔵中に酸化還元反応が多く行われて
いる.アルコール類は酸化作用によりアルデヒト類か酸類となり、アルコール類の含有量
が減少し、アルデヒト類と酸類の量が増加する。


エステル化反応
 貯蔵中、アルコール類と酸類のエステル化により、エステル成分が増加する.これもア
ルコール度数が低くなる原因の一つである.エステル化反応は酸化還元反応と比べて遅い、
特に商品を特徴付ける大分子量高級脂肪酸のエステル類は生成しにくい。


縮合反応 アルコール類とアルデヒト穎とは縮アルデヒト類に縮合される.


3.適度の貯蔵期間
 世界の酒類は貯蔵期間がそれぞれ違う.例えば、ブランディは短くても4〜5年、長けれ
ば20年以上になる.ウイスキーの貯蔵期は約4〜6年であるが、10年以上の場合もある.
貯蔵期間とは長いほどいいというわけではない.貯蔵条件は貯蔵倉庫の温度、湿度、通風
状況及び日当たりなどにも深く関係している.例えば貯蔵温度が高ければ香りが強いが、
味はうすく感じる.貯蔵期間の管理も重要である。特に時間の経過によりどのような味の
変化が起こるのか、どの程度感じられるのかなどについて、定期的に調査する必要がある.


 以下は中国の有名な酒造メーカーで陶器甕を用い、白酒の貯蔵テストをした結果である.
貯蔵期(月) 評                 価
0 香りが強烈で、新酒の特有な匂いがする、辛くて苦い、味がうすい。
1 香りが弱くなり、甘みがあるが、辛くて苦い、味がうすい.
2 未評定
3 香りが強まり、口当たりもよくなり、辛いが甘みがある、すこし苦い.
4 香りが強まり、甘い感じがする、辛くてすこし苦い、味がうすい.
5 香りが強まり、まろやかで、すこし辛くて苦い、味がうすい.
6 香りがよくまろやかで、すこし苦みがある、味がうすい、爽やかさが
足りないが、味わいがいい.
7 香りがよく、まろやかで、すこし苦みがある、爽やかさが足りないが、
味わいがいい.
8 香りがよく、味が丸くなり、味が濃くなるが、舌にすこし辛く感じる.
9 香りが清らかで深く、まろやかで甘みがある、味わいがよく、さっぱ
りする。
10 未評定
11 香味が濃醇であり、まろやかで澄んだうまみ、豊満感、熟成風味。
4.陶器酒甕で貯蔵中における物理的、化学的変化のまとめ
(1)アルコール類と水分子との結合により、柔らかさが増す.
(2)低沸点成分の蒸発により、雑味が無くなる。エステル類の生成により香りがまろやかに
 なる.
(3)アルコール度数はすこし低くなる。
(4)貯蔵中にいろいろな化学反応が起こり、商品を特徴付ける大分子量高級胎肪酸のエステ
 ル類が生成される.